労働条件通知書の書き方|必須記載事項と、2024年4月の改正で増えた4項目

早田経営支援オフィス 早田直弘|杉並区・中野区の中小企業診断士×社会保険労務士

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労働条件通知書の書き方を、必須記載事項に沿ってまとめます。2024年4月の改正で増えた項目と、厚生労働省のひな形もあわせて紹介します。

この記事の内容は、2026年10月25日時点の法令と、厚生労働省の公表資料にもとづいています。

労働条件通知書は、雇うときに必ず渡す書面

社員やパート・アルバイトを雇うとき、会社は労働条件を明示しなければなりません。労働基準法15条で決まっています。正社員か、パートか、有期契約かは関係ありません。

労働条件通知書は、この明示のために使う書面です。決まった様式はなく、必要な項目がそろっていれば、会社で作ったものでかまいません。明示しなかった場合は、30万円以下の罰金の対象になります(労働基準法120条)。

渡すのは、労働契約を結ぶときです。内定の時点で労働契約が成立する場合は、内定のときに明示が必要になります。

本人が希望した場合は、FAXやメール、SNSのメッセージで渡すこともできます。ただし、本人が印刷して書面にできる形で送る必要があります。

労働条件通知書の必須記載事項は6項目

書面で明示しなければならない項目は、次の6つです(労働基準法施行規則5条)。

一つ目は、契約期間です。期間の定めがない契約か、期間の定めがある契約かを書きます。二つ目は、有期契約を更新する場合の基準です。更新の有無と、更新するかどうかを何で判断するかを書きます。

三つ目は、就業の場所と、従事する業務です。四つ目は、始業と終業の時刻、残業の有無、休憩時間、休日、休暇です。交替制で働く場合は、その交替のルールも書きます。

五つ目は、賃金の決め方、計算と支払いの方法、締切日と支払日です。昇給については、書面でなく口頭で伝えてもよいことになっています。六つ目は、退職に関することです。解雇の事由もここに含みます。

必須記載事項のほかに、定めがあれば書く項目

会社に定めがある場合だけ明示する項目もあります。退職金、賞与、労働者に負担させる食費や作業用品、安全衛生、職業訓練、災害補償、表彰と制裁、休職です。

これらは、口頭で伝えても法律上は問題ありません。ただ、あとで「聞いていない」という話になりやすい項目です。定めがあるなら、労働条件通知書に書いておくほうが確実です。

2024年4月の改正で、労働条件通知書に4項目が増えた

2024年4月から、労働条件通知書に書く項目が増えました。

全員に関わるのは、就業場所と業務の「変更の範囲」です。これまでは、雇い入れた直後の就業場所と業務を書けば足りていました。改正後は、将来、配置転換などで変わりうる範囲まで書く必要があります。たとえば、「会社の定める事業所」「会社の定める業務」のように書きます。変更がないなら、雇い入れ直後と同じ内容を書きます。

有期契約の社員には、さらに3項目があります。一つは、更新上限の有無と内容です。有期契約を結ぶときと更新するたびに明示します。「通算契約期間は5年まで」「更新は3回まで」のような上限があればその内容を、上限がなければ「なし」と書きます。

残りの二つは、無期転換に関わる項目です。有期契約が更新されて通算5年を超えると、本人は期間の定めのない契約への転換を申し込めます(労働契約法18条)。この申込みができる契約へ更新するたびに、申込みができることと、転換後の労働条件を明示します。最初に申込権が発生したときだけでなく、その後も有期契約を更新する場合は、その都度明示が必要です。

パート・アルバイトの労働条件通知書に足す4項目

パート・アルバイトや有期契約の社員には、パートタイム・有期雇用労働法6条で、追加の4項目を文書などで明示する決まりがあります。昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無、相談窓口です。

先ほどの6項目では、昇給は口頭でもよいとされていました。しかし、パート・アルバイトの場合は、昇給の有無を文書で示す必要があります。違反すると、10万円以下の過料の対象になります。

労働条件通知書のひな形と、雇用契約書との違い

厚生労働省は、労働条件通知書のひな形を公開しています。一般の社員用、パート用などがあり、2024年4月の改正に合わせた版も出ています。最初はこれを使うのが手堅い方法です。

労働条件通知書は、会社から本人へ一方的に通知する書面です。これに対して雇用契約書は、会社と本人の両方が署名して、合意したことを残す書面です。法律で義務になっているのは労働条件の明示で、雇用契約書の作成は義務ではありません。

ただ、合意の記録が残るので、実務では「労働条件通知書兼雇用契約書」として1枚にまとめ、本人にも署名してもらう形がよく使われます。

書き方の注意点は、就業規則とそろえること

労働条件通知書に書いた内容が、就業規則と食い違っていることがあります。就業規則で定める基準より低い条件は、その部分が無効になり、就業規則の基準が適用されます(労働契約法12条)。作るときは、就業規則と照らし合わせて確かめる必要があります。

就業規則を、会社の方針を伝える道具として見直す話は、「中小企業の就業規則の見直し」に書きました。

労働条件通知書の作り方や、就業規則との食い違いの確認は、労務のページからご相談ください。いまの就業規則を無料で診断する就業規則の無料診断も受け付けています。

厚生労働省のひな形と、2024年4月の改正の資料は、労働条件明示のルール変更のページで確認できます。

この記事を書いた人

早田直弘

早田直弘(そうだ なおひろ)

中小企業診断士・社会保険労務士

早田経営支援オフィス代表。

人の問題を経営改善の視点から、経営の問題を人の切り口から、複合的に根本から解決していく、杉並区・中野区の中小企業診断士×社会保険労務士。

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