36協定の上限と届出|時間外労働の上限規制と、特別条項の決まり
早田経営支援オフィス 早田直弘|杉並区・中野区の中小企業診断士×社会保険労務士

36協定(サブロク協定)の上限と届出について、基本をまとめます。時間外労働の上限規制と、特別条項を結ぶときの決まり、違反したときの罰則もあわせて説明します。
この記事の内容は、2026年10月25日時点の法令と、厚生労働省の公表資料にもとづいています。
36協定がなければ、残業はさせられない
労働時間は、原則として1日8時間、1週40時間までです(労働基準法32条)。休日は、少なくとも毎週1日与える必要があります(同35条)。これを法定労働時間、法定休日と呼びます。
法定労働時間を超えて働かせるには、36協定を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。法定休日に働かせる場合も同じです。労働基準法36条に定めがあるので、この名前で呼ばれています。
社員が数人の会社でも、残業が少しでもあるなら36協定が必要です。届け出ていないまま残業させると、労働基準法32条の違反になります。
時間外労働の上限は、月45時間・年360時間
36協定を結んでも、時間外労働には上限があります。原則は月45時間、年360時間です。対象期間が3か月を超える1年単位の変形労働時間制では、月42時間、年320時間になります。
上限規制は、中小企業には2020年4月から適用されています。建設業、自動車運転の業務、医師には猶予がありましたが、2024年4月から適用されました。自動車運転の業務と医師には、別の上限が定められています。
特別条項を結んでも、超えられない上限がある
臨時的な特別の事情があるときは、特別条項付きの36協定を結ぶことで、原則の上限を超えて働かせることができます。特別の事情とは、予想できない業務量の大幅な増加などです。決算業務、納期のひっ迫、大規模なクレーム対応などが例に挙げられています。
ただし、特別条項を結んでも、次の上限は超えられません。時間外労働は年720時間以内です。時間外労働と休日労働の合計は、月100時間未満にします。2か月から6か月のどの期間をとっても、時間外労働と休日労働の合計の平均を、月80時間以内にします。月45時間を超えられるのは、年6か月までです。対象期間が3か月を超える1年単位の変形労働時間制では、月42時間を超えられる月数が年6か月までになります。
月80時間は、1日あたりおよそ4時間の残業にあたります。
36協定を結ぶ相手は、過半数代表者
36協定は、会社と社員の代表が結びます。社員の過半数で組織する労働組合があれば、その組合と結びます。なければ、社員の過半数を代表する人(過半数代表者)と結びます。
過半数代表者は、投票や挙手など、民主的な方法で選ぶ必要があります。会社が指名した人や、社員の親睦会の代表を自動的に当てた人は、過半数代表者として認められません。部長や工場長のような、管理監督者にあたる人もなれません。
選び方に問題があると、36協定そのものが無効になるおそれがあります。中小企業では、ここが見落とされやすいところです。
届出先は労働基準監督署、電子申請もできる
36協定は、所定の様式(36協定届)で、事業場を管轄する労働基準監督署に届け出ます。特別条項を結ぶ場合は、特別条項用の様式を使います。厚生労働省の「主要様式ダウンロードコーナー」から入手できます。
36協定に基づいて時間外・休日労働をさせるには、事前の届出が必要です。対象期間は1年間ですが、協定の有効期間とは別で、有効期間も1年間とすることが望ましいとされています。有効期間を1年間とした場合は、期限前に更新して届け出ます。期限が切れたまま残業させないよう、更新日を決めておくことが大事です。
届出は、e-Govでの電子申請もできます。2021年4月から、36協定届への押印や署名は不要になりました。ただし、協定届を協定書として兼ねる場合は、これまでどおり労使双方の署名か記名押印が必要です。
上限を超えたときの罰則
上限規制に違反した場合は、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科されるおそれがあります(労働基準法119条)。
36協定を届け出ていても、協定で定めた時間を超えて働かせれば違反です。協定を結んで終わりにせず、毎月の勤怠記録で、時間外労働と休日労働の合計を確かめる必要があります。
36協定は、毎月の労働時間の管理とセットで使う
36協定は、出せば終わりの書類ではありません。協定で決めた時間を、毎月の勤怠で守れているかを見ることで、初めて意味を持ちます。
36協定の結び方や、勤怠記録の見直しは、労務のページからご相談ください。
上限規制の詳しい内容は、厚生労働省の時間外労働の上限規制のページで確認できます。36協定届の様式は、主要様式ダウンロードコーナーにあります。

