パートの社会保険の加入条件|週20時間と、2026年10月の賃金要件の撤廃

早田経営支援オフィス 早田直弘|杉並区・中野区の中小企業診断士×社会保険労務士

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パートの社会保険の加入条件を、2026年10月の改正後の内容でまとめます。加入条件から賃金の要件がなくなり、週20時間以上働くかどうかが基準になりました。

この記事の内容は、2026年10月25日時点の法令と、厚生労働省・日本年金機構の公表資料にもとづいています。

パートも、正社員の4分の3以上働けば社会保険に入る

社会保険(健康保険・厚生年金保険)は、正社員だけの制度ではありません。パート・アルバイトでも、一定の時間を働けば加入します。加入の手続きをするのは会社です。

最初の基準は、正社員の働き方との比較です。1週の所定労働時間と1か月の所定労働日数が、ともに正社員の4分の3以上なら、被保険者になります。この場合は、会社の規模に関係なく加入します。

たとえば、正社員が週40時間・月20日勤務の会社では、週30時間以上かつ月15日以上働く人が対象です。

4分の3未満のパートの加入条件は3つ

4分の3に届かない人でも、次の3つをすべて満たすと加入します。日本年金機構は、このような人を「短時間労働者」と呼んでいます。

一つ目は、週の所定労働時間が20時間以上であることです。二つ目に、学生でないことが求められます。三つ目は、勤め先が一定の規模以上の会社(特定適用事業所)であることです。規模の基準は、この記事の後半で説明します。

学生でも、休学中の人や、定時制・通信制の課程に在学する人は、加入の対象になります。卒業後も同じ会社で働き続ける人も、対象に入ります。

雇用期間にも決まりがあります。2か月以内の契約で、その後の更新の見込みもない人は加入しません。2か月以内の契約でも、更新する予定がある場合や、同じ条件の人に更新の実績がある場合は対象です。

週20時間は、雇用契約書の所定労働時間で判断する

週20時間かどうかは、実際に働いた時間ではなく、所定労働時間で判断します。所定労働時間は、雇用契約書や就業規則で決めた、働く約束の時間です。

シフトで週ごとの時間が変わる場合は、1週間の平均で見ます。1か月単位で時間を決めている場合は、1か月の所定労働時間を12分の52で割り、週あたりの時間にします。

ただし、契約上の時間が足りなくても、加入になる場合があります。実際の労働時間が2か月続けて週20時間以上になり、その後も続く見込みのときは、3か月目から加入します。

所定労働時間は、労働条件通知書に書く項目でもあります。書き方は「労働条件通知書の書き方」にまとめました。

2026年10月に、106万円の壁(賃金要件)がなくなった

2026年9月までは、短時間労働者の加入条件に、所定内賃金が月額8.8万円以上という賃金要件がありました。8.8万円の12か月分が約106万円になるため、「106万円の壁」と呼ばれてきました。

この賃金要件は、2025年に成立した年金制度改正法(令和7年法律第74号)で撤廃が決まりました。撤廃の時期は、法律の公布から3年以内とされていました。その後、施行日が2026年10月1日に決まり、この日から要件ではなくなっています。

厚生労働省の資料では、時給1,016円以上なら、週20時間働けば月額8.8万円以上になると説明されています。最低賃金の上昇により、週20時間以上働く人は、自動的に賃金の水準を満たすという考え方です。

なお、最低賃金の減額の特例を受けている人で、月額8.8万円未満の人は、原則として加入しません。本人が申し出れば、加入できます。

健康保険の扶養に入れるかどうかの「年収130万円未満」は、別の基準で、変更はありません。年収が130万円未満でも、加入条件を満たす人は、本人が被保険者になります。

企業規模の要件は、2027年10月から段階的に適用拡大

いまの企業規模の要件は、厚生年金保険の被保険者が51人以上の会社です。正確には、1年のうち6か月以上、50人を超えると見込まれる会社を指します。人数には、短時間労働者として加入している人を含めません。法人は、法人番号が同じ全事業所の合計で数えます。

この要件は、2025年の法改正で、段階的に縮小・撤廃されることになりました。対象は、2027年10月から36人以上、2029年10月から21人以上、2032年10月から11人以上の会社に広がります。2035年10月には、企業規模の要件そのものがなくなる予定です。

この流れは、社会保険の適用拡大と呼ばれています。規模の要件を満たさない会社でも、労使で合意して申し出れば、短時間労働者を加入させることができます。労使合意には、厚生年金保険の被保険者や、新たに加入対象となる短時間労働者など、制度上の同意対象者の2分の1以上の同意が必要です。所定の労働組合や過半数代表者の同意による方法もあります。

社会保険の手続きは、年金事務所への資格取得届

加入条件を満たす人を雇ったら、会社は被保険者資格取得届を出します。期限は、雇い入れの日から5日以内です。提出先は、日本年金機構の事務センターか、会社を管轄する年金事務所になります。

届書は、電子申請、郵送、窓口への持参のいずれかで出せます。健康保険組合に入っている会社は、健康保険の分を健康保険組合に届け出ます。

届出を忘れていたことが後でわかると、加入すべきだった日までさかのぼって届出をし、保険料を納めることになります。週の時間を増やす契約の変更をしたときも、条件に当たるかを確かめる必要があります。

パートの加入漏れを防ぐには、契約時に週の時間を確かめる

賃金要件がなくなったことで、加入するかどうかは、週の所定労働時間と会社の規模で決まるようになりました。契約を結ぶときと、時間を変えるときに確かめておけば、加入漏れは防げます。

パートの社会保険の加入や、雇用契約書での時間の決め方は、労務のページからご相談ください。

制度の詳しい内容は、日本年金機構の賃金要件の撤廃のお知らせと、厚生労働省の社会保険の加入対象の拡大のページで確認できます。

この記事は、公開日時点の法令と公表資料をもとに、制度の概要をまとめたものです。法改正や個別の事情によって、扱いが変わることがあります。ご自身で手続きをするときは、最新の情報を厚生労働省などの公式の資料で確認してください。

この記事を書いた人

早田直弘

早田直弘(そうだ なおひろ)

中小企業診断士・社会保険労務士

早田経営支援オフィス代表。

人の問題を経営改善の視点から、経営の問題を人の切り口から、複合的に根本から解決していく、杉並区・中野区の中小企業診断士×社会保険労務士。

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