働く人の育業応援奨励金の対象と申請準備|制度の概要と、申請前に押さえたいポイント
早田経営支援オフィス 早田直弘|杉並区・中野区の中小企業診断士×社会保険労務士

東京都の「働く人の育業応援奨励金」について、対象と申請準備の概要をまとめます。あわせて、申請前に押さえておきたいポイントを解説します。細かな要件は、公式の募集要項で確認してください。
この奨励金は、一定期間以上の育休を取得して復職した社員がいる企業等の、育児と仕事を両立しやすい職場づくりを支援する制度です。この記事の内容は、令和8年度の制度について2026年10月15日に確認したものです。
奨励金の概要と募集日程
東京都の事業で、東京しごと財団が窓口です。基本額は125万円で、加算の取組を満たすと最大420万円になります。
2026年度の第3回は、2026年11月2日午前10時から11月11日午後5時までが事前エントリーの受付期間です。400社を予定しており、申込みが予定数を超えた場合は抽選になります。
対象になる会社と社員
会社は、都内で事業を営み、常時雇用する従業員が2〜999人であることなどが条件です。
社員は、2025年4月1日以降、事前エントリーを行う日の前日までに、育休から引き続き原職等に復帰していることが必要です。育業の日数は、男性は通算58日以上(常時雇用300人以下の中小企業等は45日以上)です。女性は産後休業に加えて1か月以上の育業を取得し、通算86日以上であることが必要です。
このほか、育休中の面談と情報提供、職場の制度づくりも要件になっています。次の節で、申請前に確認したい4つのポイントを説明します。
申請前に押さえたいポイント
一つ目は、育休から復職した実績が必要なことです。これから育休を取る予定の社員がいるだけでは、この要件を満たしません。
二つ目は、育休中の面談と情報提供です。育休中に、育業計画書を作るための面談と、その後の別の日に復職の意向を確かめる面談を行っている必要があります。両立支援の制度などの情報提供も、面談とは別の日に行います。どれも育休中の対応なので、社員が復職したあとで行っても間に合いません。申請を考えるなら、当時の記録をもとに、いつ、どのような面談や情報提供を行ったかを確かめてください。
三つ目は、制度を「新たに」整えることです。2026年6月22日以降に、子の看護等休暇の有給化や病児保育経費の補助など、指定の7項目から3項目以上を、法律の定めを上回る形で整える必要があります。すでに法律を上回る制度がある項目は、さらに上乗せしても対象になりません。社内にある制度を、まず確かめておく必要があります。
四つ目は、就業規則の届出です。労働基準法では、就業規則の作成と届出が義務になるのは、常時10人以上を雇う事業場です。しかし、この奨励金では、従業員10人未満の事業所でも、改めた就業規則を労働基準監督署へ届け出る必要があります。届出は、2026年6月22日以降、支給申請日までに行います。
ここで紹介したほかにも要件があります。自社が当てはまるかは、募集要項で確認してください。
申請の流れと準備
事前エントリーは、企業がLoGoフォームで行います。通過した企業が、Jグランツで支給申請をします。JグランツにはGビズIDプライムが必要なので、早めに用意してください。第3回を通過した企業の支給申請期限は、2027年1月22日午後5時です。
使うかどうかは、会社に必要な制度かで決める
私は、育児と仕事を両立できる職場づくりを、採用と定着に関わる経営課題だと考えています。
奨励金は一度きりの収入ですが、整えた制度の運用と費用はその後も続きます。会社に必要な改善と重なるなら活用を検討します。受給のためだけに制度を増やすことは勧めません。
対象になるかの確認や、就業規則の見直しについては、ご相談ください。

