求人に応募が来ない|媒体を変える前に、求人の中身を見る

「求人を出しても応募が来ない」。採用の相談で、一番多く聞く言葉です。

応募が来ないと、次の手はだいたい決まっています。媒体を変える。掲載プランを上げる。広告費を増やす。

その前に、見てほしいところがあります。いま出している求人に、何が書かれているかです。

応募が来ない求人は、情報が薄い

現場で求人票や採用ページを見せてもらうと、書かれていないものがだいたい共通しています。四つあります。

仕事の中身。職種名と勤務条件は書いてある。でも、実際に毎日何をするのか、仕事はどんなタスクに分かれていて、一日はどう流れるのか。それが書かれていません。

一緒に働く人。どんな人たちと働くことになるのか。何を考えている、どんな人たちなのか。顔が見えません。

会社の考え。商売として何を大事にしているのか。働く人に何を求めているのか。会社の頭の中が書かれていません。

将来像。ここで何年も働いたら、自分はどうなるのか。数年先が見えません。

求職者にとって、転職は人生の大きな決断です。この四つが分からないまま応募しろというのは、考えてみれば無理のある話です。応募が来ないのではなく、応募を判断できる材料を渡していない。そういう求人が多いのです。

なぜ書かれないのか

社長が意地悪で隠しているわけではありません。書かれない理由は、だいたい三つです。

ひとつは、社長にとって当たり前すぎて、書く発想がないこと。毎日見ている仕事の中身も、自社の考えも、本人には空気と同じで、わざわざ説明するものだと思っていません。

ふたつめは、媒体のフォーマットに流し込んで終わっていること。職種、給与、勤務時間、休日。空欄を埋めれば求人はできあがります。フォーマットにない情報は、書く場面がそもそも来ません。

みっつめが、一番根が深いところです。求職者の目線がないこと。

商売なら、顧客の望む情報を出すはずです。商品の写真を撮り、仕様を書き、使い方を説明する。顧客が何を知りたがっているかを考えるのは、商売の基本です。ところが採用になると、急にそれをやらなくなる。求職者が何を知りたいのか、何があれば嬉しいのかに、本気で向き合っていない。

「求人を出す」が目的になり、作業になっている。社長も、担当者もです。求人とは媒体に出すことだ、と思ってしまっている。

求職者は、あなたの会社の顧客です。顧客に向き合うのと同じ真剣さを、まだ採用には向けていない会社が多い。裏を返せば、そこに伸びしろがあります。

書く前に、決めることがある

では、四つの情報を書けばいいのか。その前に、決めることがあります。

誰に来てほしいのか。ターゲットの設定です。

商売と同じで、全員に売ろうとする商品は誰にも刺さりません。来てほしい人はどんな人か、その人物像(ペルソナ)を具体的に描く。その人は何を知りたいのか。うちの何をどのように見せるべきか。どこにスポットを当てるか。書く内容は、そこから決まります。

そして、実際にペルソナを描こうとすると、気づくはずです。会社のビジョンや方向性、目標が固まっていないと、来てほしい人が定まらない。出せる待遇や給与の水準が決まっていないと、現実的な人物像が描けない。

つまり、求人の情報を濃くする作業は、書き方の話で始まって、会社の考えを固める話に行き着きます。面倒に思えるかもしれませんが、ここで固めたものは、求人だけでなく、その後の面接でも、入社後の定着でも効いてきます。

媒体を変える前に、まず自社の求人を、求職者の目で読み返してみてください。これが商品の説明だったら、自分は買うか。その目で見ると、直すところが見えてきます。

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この記事を書いた人

早田直弘

早田直弘(そうだ なおひろ)

中小企業診断士・社会保険労務士

早田経営支援オフィス代表。

人の問題を経営改善の視点から、経営の問題を人の切り口から、複合的に根本から解決していく、中小企業診断士×社会保険労務士。

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